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October 07, 2005

応益負担ではなく応能負担に

小さな政府は、公助を減らして、なんでも民でやってくださいというものではないはず。
行政でしかできないことは、行政がすべきです。
地域福祉も、行政の画一的なサービスでは非効率になるから、
住民や民間でできることは民間でできる範囲で、きめ細かいサービスをやっていこうということであって
財政赤字で公助を後退させ、その分を、ボランティアでやってくださいということではないのです。
NPOがその担い手ということではないのです。
社会保障全体の基盤など公助でしかできないことは、やはり官がすべきことでしょう。

なんでも民間にまかせうというのは、競争原理だけになり、勝ち組負け組みの社会がすすみます。
今回のカトリーナに現れた弱者切捨ての社会、ものすごい貧富の差が拡大した社会になっていってしまいます。
自助共助だけで公助のない社会。
日本はアメリカ型社会そのままに追従していって良いのでしょうか。
(アメリカは平均的な所得と一番高い所得の差がかつては40倍だったのが昨年は1000倍を越えているそうです)

郵政民営化を問う今回の選挙は族議員を排除できたということで大きな改革であったと思います。
しかし、これから、その改革の中身、方向性を、きちんと追求していかなければなりません。
与党野党とも、改革の方向性に違いがみえないのです。
もちろん、非効率や無駄の排除は当然すすめなければなりませんが
改革の先が、カトリーナであってはならないと思います。

障害者自立支援法案が、そのまま、元通りになって可決されようとしています。
多少の修正はあっても、
「応益負担」(障害が重い人ほど、たくさん自分で負担しなければならないということ)
という考えは変わらないようです。

そもそも福祉は人権なのだという考え方に切り替えていないからこういうことになるのでしょう。
福祉の考え方が大きく変わった根拠は、最低限の保障から、個人の尊厳と幸福追求の権利の保障へ(憲法25条→13条)ということですが、
現在
その最低限の保障もあやうい状態になっているのです。
それは最も条件の厳しい人に対して、過酷なものとなっています。
働きたくても働くことができない人から負担をさせるということは
障害や病気が重いほど、サービスが受けられないということになってしまいます。

しかも障害者の方が受け取るサービスというのは、最低限、地域でふつうに暮らすための
ぎりぎりのサービスであって、出前でピザをとるサービスなどとは違うのです!
地域で暮らす、それがついこの間までできていなかったのです。
当たり前ではなかったことを、ようやく当たり前にできるようになってきたというのに。
これはぜったい応益ではなく、応能負担であるべきです。

一方で、所得税の税率の段階はどんどんゆるめられ(現在は4段階)80年代は80%だった最高税率も37%に引き下げられています。
法人税も43.5%から30%に引き下げられ、1社だけで税引き後利益が1兆を超えるところもあります。
景気回復のための措置だったら、景気が回復してきたら戻せばいいのではないでしょうか。
自立支援法案はそもそもお金がないということを土台にしています。
支援費(障害者の方がこれで福祉サービスを利用して地域で暮らせるようになった)の足りない分は270億。

法人税を1%、所得税1%上げるだけで、支援費の不足分くらいはらくらくクリアできるはずです。
みんなで企業も市民も、支えあう、少しずつ負担すべきです。

障害の有無に関わらず、だれもが地域で暮らすことができれば、地域に消費者を増やすことになり
経済を活性化させるのです。
最低限の保障が公平に確保されれば、みんな可処分所得まるまる、ぜーんぶ消費するでしょう。
(こうなると現在の公的年金はもう不要というか、そもそも今のやり方は破綻しているので
がらがらポンすべきでしょう)

企業は合成の誤謬に陥ってはいけません。
消費者が増えたら、消費税だった入るし、物も売れるのです。

一方で金持ちはより豊かに
一方で、ふつうに暮らすこともできない人をつくっていく
これはどう考えてもおかしいです。

もっと日本は、日本のファンダメンタルズに見合った日本独自のビジョンを持つべきです。
日本は『平等と競争』の共存をはかっていくことができないのでしょうか。
自助型か、公助型か。
日本らしい公助の在り方、応能負担があってもいいのではないでしょうか。

もうひとつ公助で果たすべきなのは、人的投資です。

日本の奨学金は、借金なんです。奨学金じゃなくて、公的教育ローンといったほうがいいでしょう。
ここでも生活が苦しく学業優秀な学生の方が支給上限が低くいという逆転現象が起きています。
根底にあるのが、義務教育でない、高等教育は国より個人で、ということです。
はたしてそうでしょうか。

優秀な人材がこれでは育たない。これは、国家的損失と考えるべきだと思いませんか。

塾にいける家庭しか結局受験戦争に参加できないとなると、
生まれながらにして、将来の進路は、限られたものになってしまいます。

ふつうに暮らすことができる保障があってはじめてチャレンジができます。
そして安心して勉強ができる保障があって、優秀な人材もうまれます。
チャレンジできる人材づくり、チャレンジしやすい土台としての公助、そしてチャレンジするしくみ
が必要です。
アメリカの良いところは、チャレンジャーがチャレンジしやすい制度と資金供給の流れを
持っていることです。そして、肩書きではなく、能力を評価する社会があります。

ところが今の日本は、失敗したら二度と立ち直れないようになっています。
しくみもお金の制度もありません。
肩書き重視の社会でもあります。
名もない、ゆたかな才能にあふれる人が
あるいは
能力の高い人がその能力を高める学力をつけることなく
すぐれたアイディアがあっても、それを開花させることなく
埋もれていってしまっているのです。

最初から成功するかどうかはだれもわからない。
けれど、10打数1安打でもいいから、チャレンジャーがチャレンジできるような
制度が必要です。それこそが、産業の苗床としてのNPOです。

ベンチャーとして苗になる前の、土づくり。
そこに種をまいたら芽がでるような環境整備が求められます。
ようやく商法が改正され、法人設立が容易になりました。
しかしそこには、資金調達のしくみがありません。
それに、ベンチャーとして芽が出る前の、さまざまなアイディアにあふれる
段階の人を応援するしくみがなければ、芽を出すこともできないでしょう。

私たちは、あらゆる分野で、何かやりたい人にチャンスを与え続けるシステムとして
能力開花型社会としてのシステムをNPOと位置づけたいと思います。
(これは、大阪NPOセンター職員であったころから、進化研究会を開き言い続けてきたことで
その後、NPOは分野拡大したのです)

民営化とは、市民社会が行政を監視・規定することです。市民が納税者主権者として
統治する力を発揮できなければなりません。
私たちは、
市民が納税者主権者として、行政を企業を統治(ガバナンス)するために
責任を持って、公正公平なルール、制度をつくっていくということを基本理念、哲学の土台
にもち、
官から民への流れをしっかりと監視し、提言し、行動していきます。

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